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「どうした?」
「三上さん、私……」
ーー私は何がしたいのだろう。
三上さんのやや切れ長の瞳は少し驚き混じりではあるが、まっすぐに私を見つめる。
くらりとするようなときめきを覚えると同時に、自分の行動に戸惑う。
私から求めている。
「……そんな顔を見せれたらさすがに俺も……ヤバイ」
そう言って彼は、私を彼に優しく抱き寄せた。
ヤバくなってもいい。
さすがにそれは口にできなかったけれど私から「三上さん」と頼りない声が漏れる。
ひっついた身体の隙間から彼を見上げた。
三上さんと視線がぶつかる。
彼の瞳は色を含んでいる。
「嫌なら、思いきり押して」
何をされるかわかる。
はると長く付き合っていたのだ。
キスをしかけられるタイミングはわかるつもりだ。
想像していた通り、キスが落ちた。
唇を重ねるだけのキス。
まったく、いやらしさを感じないもの。
それだけのキスに胸の奥が強く締め付けられる。
このときめきを胸の深いところに閉じ込めたい。
こんな思いは初めてだ。
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