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けれど、三上さんに聞けないでいる。
これまではるに異性のことを詮索されてきた私は、毎回面倒ではるの口を塞ぎたいような気持ちだった。
そのため、“あの人とはどういうご関係ですか?”の一言が言い出せない。
三上さんが誠実な人だとはわかっている。
もしかするとはるが加工して作ったものなのかもしれない。
そうだとしたなら、失礼な質問過ぎる。
悶々とする思いも抱えつつ、三上さんにときめく。
こういうことを恋をしている、というのだろう。
「なつき、悪いが今夜は用があるから、夕食は俺の分はいらないよ」
“なつき”と呼ばれるのも慣れてきた。
私は彼のことをなかなか呼べないけれど。
そして、それは彼と退社し、マンションへ戻ってきた時に言われたことだ。
「わかりました。お友だちと会うのですか?」
何気なく聞いたそれに、三上さんが「まぁ」と言葉を濁した。
なんとなく、夏木さんに会うような気がした。
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