ファーストキスの味-2

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「なつきの言ってたこと間違ってないかもね」 「……何が?」 「ほら、はじめて付き合う人と結婚したら幸せになれるってヤツ」 今さらなんだと思う。 なぜ、それに繋がるのかわからない。 「俺は異性関係で悩ませなかった。なつきを大切にしてたよ」 「……」 「今も。やっぱり浮気とかが一番嫌じゃん」 はるが素早く私の手をとった。 「俺、なつきが嫌だと思うところ直すから、また付き合いたいんだ。 絶対幸せにするから、もう一度やり直そう。 今度は間違えない」 はるの真剣な告白。 「なつきが好きなんだ」 これが乱暴をされる前に言われたのなら、私の心はもしかすると彼に傾いていたかもしれない。 けれど、彼は間違えた。 私も。 「離して」 「……なつき」 「私ははるとはもう二度と付き合わない。それにはるのことを好きにはならない。これからもずっと」 はるの瞳が切なく弱まる。 「もうはるの言葉には惑わされない。三上さんのことだって自分で聞くし、自分の心に正直に生きたいから。 もう私のことは忘れて。私もはるのことは忘れたい。これ以上付きまとうと警察に行くからね」 自分から手を強めに振りほどいた。 そして、レジまで駆ける。 「すみません、タクシーを一台呼んでもらえませんか?」 ーー言えた。 それに、自ら離れられた。     胸はひどくドキドキしていたけれど、もうはるの言葉に惑わされない。 後ろで私を見ているだろうはるを一切振り向かぬようにし、男性店員だったけれど、彼をしっかりと見つめ、頼んだ。
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