ファーストキスの味-2

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ーー早く来て。 心臓はバクバクだ。 レジのすぐ横で店の外を見つめながら、胸を押さえる。 けれど、なかなか来ない。 まだはるも店から出ていない状況だ。 来たらすぐにタクシーに乗り込もう。 それからマンションに逃げ込めばいい。 そればかり考え、手に力を込める。 「タクシー遅いですね」 少しビクッとした。 男の声だったからだ。 それははるのものではなく、先ほど私から声をかけた店員のもの。 カウンター越しに話しかけられた。 「あ、はい……」 「もしよろしければ中で待ちませんか?」 「……え」 店員はレジから繋がる奥の方を手で指した。 「何か事情があるように見えるんで」 彼は私の耳近くで小声で言うと、私を追い越し後ろに視線を一度向けた。 はるを見つめているのだろうとわかる。 「……あ」 「裏口から外にも出れますよ」 彼はやや長い茶髪にピアスを付けた今どきの若い男だ。 大学生だろうか……。 一歩足を後退させてしまう。 男の中でも大学生くらいの年齢が一番苦手だ。 それもはるのせいだ。
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