ファーストキスの味-2

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「コーヒー置いときますね」 ブラックコーヒーを一つ。 仕事中である三上さんのデスクにカップを置いた。 「サンキュ。悪いな」 「いえ」 三上さんは今夜は残業だ。 昼に抜けさせてしまったこともあるが、最近は多くの仕事を抱えているので、遅くなりがち。 家が近いこともあり、はるの気配がないため、最近では一人で帰宅することも増えていたものの、今夜は昼間の件があり、彼を待っているところだ。 とはいえ、私は残ってまでする仕事がないので、邪魔にならない程度に三上さんの部屋を片付けていた。 「もう少しで終わるから、ゆっくりしとけよ」 「大丈夫ですよ」 ふふっ、と笑うと、三上さんがコーヒーに口を付けつつまじまじと私を見つめる。 好きな人に見つめられるのは恥ずかしいものだ。 はるに見つめられても、照れ臭さは感じなかった。 「……なつき」 「へ……」 突然の名前呼びに驚くも、胸が喜ぶ。 「いや、どうして原口は名前で呼ぶようになったのかと思って」 “なんだ……” すぐに心はがっかりの声をあげた。
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