ファーストキスの味-2

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しかし駐車場にははるがいた。 「はる……」 やはり誰よりも怖い人。 恐怖で足がすくむ。 「俺があの人を引き留めとくんで、お客さんはタクシーに乗ってください」 「店員さん……」 「俺、こう見えて黒帯なんで、腕には自信あるんで大丈夫ですよ」 彼は小さく笑うと、はるの方へ足を向けた。 私はタクシーの中へ駆ける。 男の人でもいい人はいるのだ。 そして、強い力は乱暴を働くためにあるものではない。 普通は守るためにあるのだと教えてもらった気がした。 明日、改めてお礼をしようーー。 そう思い、タクシーに乗り込み、近いもののマンションの名を口にした。 さすがにすぐに着く。 運転手に申し訳なかったので、せめてもおつりはいらないとお金を払い、タクシーから降りマンションの中へ駆けた。 「……なつき?」 なんてタイミングがいいのだろう。 三上さんもちょうど戻ってきた時だった。 ホッとした私からは涙が溢れ、彼の胸に抱きついた。
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