ファーストキスの味-2

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「理巧」 「……え?」 「って俺のことも呼んでみて」 私に反して彼は余裕な表情で、両肘をデスクに付け手を組み、その上に顎を乗せ、私を見つめる。 期待されているのがわかる。 名前を呼ばれると嬉しかったように、彼だって同じ気持ちになるはずである。 “理巧” 簡単な二文字だ。 心の中では簡単に呼べる。 “理巧、理巧、理巧”と何度でも。 けれど、口にするのはなんて難易度が高いのだろう。 「……ごめんなさい。呼びたいのはやまやまなんですけど……」 手をギュッと前で握りしめた。 「恥ずかしくて……」 すると、彼は小さく吹き出した。 笑われた。 子供みたいだと思っただろう。 下唇を緩く噛み、上目遣いに見つめる。 「焦る必要はないないよ」 「……」 「そういうところも気に入ってるから」 さらに恥ずかしくなり、手で顔を覆う。甘い空気が耐えられない。
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