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髪が優しい手つきで、すかれる感覚に意識が覚醒した。
まどろみの中、髪に触れられるのがとても気持ちがいい。
指が触れる快感がもっと欲しく、顎を上げてしまう。
すると唇に髪に触れられるのと同じ、さらっとした温もりを二度、感じた。
けれど、すぐにそれは消える。
もっと、感じたかったのに……。
そう思いながらゆっくりと瞳を開ける。
すると、目の前には三上さんの端整な顔があった。
「三上さん……!」
驚く。
「起きたか」
彼は頬を緩め、私から顔を離した。
私は三上さんの部屋のソファで眠っていたようだ。
彼を座って待っていた。
そこまでは覚えている。
ジャケットが膝にかけてある。
きっと彼がかけてくれたのだろう。こういう優しさにキュンと胸が高鳴る。
「すみません私……眠ってしまったのですね……」
「いや、俺が待たせたからだ。悪かったな、もう終わったよ」
時計の針は21時前を指している。
結構寝てしまったよう。
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