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「三上さんは褒め上手ですね。私なんかにここまで気を遣わなくても……」
首を左右にぶんぶんと振り、顔を下に向けた。
これ以上見つめられてはたまらない。
「私なんかって……わかっていないな」
三上さんはため息を一つ吐き、私の横に腰かけた。
距離が近づいたことに胸が高鳴る。
「藤下……いや、なつきは自分のこと綺麗だって知らないのか?」
彼の手が頬を覆う。
温かくて、少しの間瞳を閉じて、その熱を感じつつ頷いた。
まるで私をすごく綺麗だというように扱う彼に、照れてしまう。
「たくさん言われてきただろうに」
「そんな、言われたのなんて……」
ほぼ、はるからだ。
むしろはる以外の男と接点もなかったのだから。
でももうはるの名を口にもしたくなくて、口をつぐむ。
「まぁいい。俺だけが思ってればいいことだな」
「三上さん……」
彼は私の頬をさらりと撫で手を離した。
けれど、私はその手を掴んでしまった。
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