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彼はそう言うと頭を撫でて、去ろうとする。
だから私は彼の腕を引いた。
「……三上さん」
「ん?」
「もう一度……してください」
恥ずかしい。
ゆりもいるのに私は何をしているのだろう。
三上さんだって困るはずーー。
だが、彼は優しいので今度は少しだけ長いキスをくれた。
身体中に好きが広がる。
キスなんて、何度もしてきたのにーー。
三上さんとのものは別物。
先日同様、熱さを紛らすために勢いよくシャワーを浴びたのは言うまでもない。
「……あれ、ゆりは……?」
急いであがったつもりだった。
しかしゆりの姿がない。
「なんか今日は帰るってさ。用事でもあるんじゃないか?」
気を利かせたに違いない。
連絡をとろうとスマホを覗くと一件メッセージがあった。
“お邪魔虫は消えまーす。また遊ぼ”
胸がチクリと痛む。
こんないい友人にモヤモヤしていたなんて、私は最低だ。
「私って最低」
つい、ため息と共に溢れた。
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