心も身体も満たされて

11/23
前へ
/23ページ
次へ
「何が最低なんだ?」 テレビを付けていたけれど、たまたま静かになった時だったので彼まで呟きが届いたみたいだ。 「……あ」 「なんか様子が変だぞ?今日本当は何かあったんじゃないか?」 「い、いえ」 「店員か?何か言われたのか?」 三上さんが別の心配を始めるので焦る。 「違います!私が、三上さんとゆりにヤキモチをやいてて……おかしかっただけで……」 正直に言ったけれど、恥ずかしくて情けなくて声が小さくなる。 「え……?」 「ごめんなさい。二人が仲良さそうに喋っていたのが気になってしまっていたから……」 唇を萎め白状する。 「仲良さそうって……なつきの話をしていたんだぞ」 「私の……話?」 “悪口?” その心の声が漏れていたのかもしれない。 「お前の誕生日の話だ」と言われた。 「……知ってたんですか?」 「当たり前だ。彼女の誕生日だぞ」 「……彼女」 「え?」 「私、彼女なんですか?」 嬉しくて泣ける。 三上さんといると心が忙しい。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

52人が本棚に入れています
本棚に追加