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どうやら一際大きな家は夏木さんの自宅らしい。
ローマ字表記の夏木の表札をしっかり目に入れた私は、三上さんと共に部屋の中へ入った。
外観は夜でよくわからなかったけれど、部屋の中はまるで有名人でも住んでいそうな豪華な洋館という感じだ。
驚くことに使用人もいる。
庶民の私にはなんだか落ち着かない。
洋間に通されるものの、一体ここに何の用があるのかわからず不安になる。
三上さんをチラチラ見つめるが、彼は何も教えてくれない。
「理巧、ちょっと待っててね、連れてくるから」「おぅ」
夏木さんがいなくなったので「三上さん、何があるのですか?」と彼の腕を引っ張った。
「なつきへの誕生日プレゼントだよ」
「……え?」
「本当は来週渡すつもりでいたんだけど、予定変更だ」
ますます意味がわからず、首を傾げた。
私は待つしかないのだろう。
「おまたせー」
夏木さんが戻ってきたのはすぐだった。
彼女はぬいぐるみのような生き物を抱えている。
「……犬?」
夏木さんの腕の中にいるため半分隠れた毛むくじゃらのアイボリー色の生き物は犬のように見えた。
「これはね、アメリカンファジーロップっていううさぎなの」
“まさか、うさぎがプレゼントなの?”
三上さんを瞬時見上げる。
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