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「可愛いでしょ?」
「はい」
「この子毛が長いからお顔がわかりにくいけど、ほら、お顔も可愛いのよ」
彼女は顔の毛を撫でつけて見せた。
つぶらな瞳と視線がぶつかる。
「……可愛い」
とても愛らしい見た目をしていた。
「なつきが“ナツ”を可愛がるから、プレゼントに動物をあげるのはどうだろうかと思ってここのところ由美に相談していたんだ。彼女、ブリーダーもしててね」
「私っていうより、主に兄がしてるの」
二人で会っていたのはそのためなのか……。
ひどく安堵する。
「そうだったんですか……」
「あぁ。うさぎは初心者でも育てやすいって聞いたから、いいかと思ったんだ。
もちろん、なつきがよければだが……。
俺も世話するよ」
すると夏木さんが「あらら?私に話していたことと違う」と言った。
「……え?」
「プレゼントをこの子にしたのは、動物を飼ったら理巧から彼女が離れにくくなるからでしょう?」
「由美……」
「あら、口が滑っちゃったっ」
夏木さんはわざとらしく口元に手を当てた。
三上さんはばつが悪そうに頬を掻く。
「動物可のマンションって、古かったり高かったり、なかなかいい物件ないしねー」
夏木さんはふふっと笑いながら、「抱っこしてみる?」と言った。
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