52人が本棚に入れています
本棚に追加
「あ、はい……」
すると彼女は私の身体にゆっくりと近付き、「腕を出せる?」と言った。
夏木さんの腕と腕がくっつく。
「兄の店に理巧が何度も通って選んだ子なのよ。きっと理巧は一生分のうさぎを抱いたな」
「由美、いいから……」
「ふふっ、だっておかしかったもの。うさぎに逃げられそうになって私が何度止めたか……」
彼女が笑った瞬間、うさぎが飛び出そうになり、なつきさんが私に抱きつく形になる。
「危ない。座って抱っこしましょうか」
「はい」
今度は私の部屋のベッドの二倍くらいあるソファに座り、抱っこした。
ふわふわの優しい手触りは癖になりそう。
「可愛い……。連れて帰りたい」
ふと出た言葉だった。
「本当か?」
「……え」
「気に入った?」
三上さんが不安そうに瞳を揺らす。
「あぁ……無理はしなくても……。そいつとは別にちゃんとプレゼントも用意してるから」
最近の三上さんを見ていて思うこと。
私のことになると、彼は時々可愛くなる。
仕事中はスマートな人なので、今のたじろぎ方が不自然。
最初のコメントを投稿しよう!