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「……え?」
「まだトイレを完全に覚えてないから……しまったわ、ごめんね」
「いえ……」
なるほど、と意外と冷静な自分がいる。
「着替えなきゃね、私の服でいいかしら?」
「……え、はい。すみません」
「いえ、こっちがすみませんよ」
うさぎを片手に抱きつつ、夏木さんは私の手を引き立ち上がらせた。
「理巧、少し待ってて」
「お、おぅ」
「着替えさせてくるから」
夏木さんは慌ただしく使用人にうさぎを渡し、私を二階の彼女の部屋に誘った。
驚くことにシャワールームが付いていて、そこに押し込まれる。
「服を準備しとくから、洗い流しててね。いっそ、全部洗っちゃえば?」
「いえ、そこまでは……。ありがとうございます」
「そこら辺のヤツ好きに使ってね。タオルはここね」
彼女はそう言うと、扉を閉めた。
これまで疑っていた夏木さんの部屋でシャワーを浴び、服を借りるなんて、なんだか不思議な気分だ。
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