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「俺に対して何か不安なことがあるのか?」
私がモヤモヤした気持ちを白状したせいだ。
三上さんに質問できるタイミングがやってきたと思った。
「ためこんでもいいことないぞ」
「……」
「どうした?」
三上さんが足を組み直し、聞く姿勢を見せる。
「はると隠れて会った日、夏木さんと三上さんが親しげにしてる写真を見せられました」
抱き合っていたとは言えなかった。
「親しげ?」
けれど、記憶にないというような顔をするので、抱き合っていたことを伝えた。
「由美と俺が抱き合ってた……?」
彼はそれこそ記憶にないという表情を見せる。
安堵すると同時、名前呼びが気になってしまう。
「夏木さんとは……親しいのですか?」
「あぁ……そうか、気になるよな。悪い、あいつとはただの友人。友人関係でしかない。これまでも今も」
「……そうですか」
“それなら、“ナツ”はやっぱり私から?”
その線が濃くなり、胸に嬉しさが舞い込む。
私はこんなに単純だっただろうか。
三上さんの一言で上がったり下がったり、少し前までの自分が嘘みたい。
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