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部屋を静かに覗き込むと、三上さんだけがいた。
夏木さんはどこだろうか、と再び二階へあがろうと思ったが、使用人が下りてくるのが見えたので、洋間に駆け込む。
瞬時、三上さんが私の姿を捉えた。
彼の視線が上から下へ移動するのが心もとなくて、セーターを伸ばす。
ーーしーん。
「夏木さんからお借りしたお洋服なんです。なんだか……すみません」
彼が困っているのが伝わる。
「いや、そういう格好も似合うな」
フォローだろうとしか思えず、首を左右に振る。
「えぇ、いえ、気を遣われなくても……」
「いや、本当。でもあまり直視できないな」
三上さんが頬を掻きつつ、視線を逸らす。
それはどういう意味なのだろうか。
「なつきちゃん、着替えたわね」
夏木さんが今になり姿を現した。
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