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「おい、なつきを困らせるなよ。それに俺も困るから……」
「あらら」
「……それより、うさぎは?」
「あぁ、うん今来るわ」
そこにすぐ、使用人がバスケットを抱えて入室してきた。
話が逸れてホッとする。
夏木さんは、私と三上さんに飼育方の説明を始めた。
彼女の顔が、真剣になる。
私からも恥ずかしさは消え、真剣に話を聞いた。
それから、うさぎと共に夏木さんの家を出ることになったのはしばらくして。
「なつきちゃん。これ、あなたの服。洗ったけど、乾燥機から途中で取り出したから半乾きなの。帰って干して」
「ありがとうございます。お手間をおかけしてしまいすみません」
「いいの、それに私が洗ったわけじゃないから。あ、あと、これ」
夏木さんは私のパンツの入った小袋とは別に大袋を手に持たせた。
「え……?」
夏木さんの唇が耳元に寄る。
「さっき言った服。なつきちゃんに似合うと思うものを集めたから理巧とデートの時にでも使って」
「え、夏木さん……」
「お幸せにね」
こんなによくしてもらっていいのだろうか。
「夏木さん、私、三上さんと夏木さんのこと疑ってたようなひどい女なのに、こんなに優しくしていただいて、ありがとうございます」
彼女に対しモヤモヤしていたのが申し訳ない。
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