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「はる、大丈夫かな……」
ゆりは複雑なはずだ。
私ともはるとも友人なのだから。
「……ゆり」
「はるに私からも“もうやめなよ”って言ってるんだけどね」
「……ありがとう」
「ううん。でもさ、はる、なんか最近顔つき怖くて、私も話しかけにくいオーラを出してるんだよ」
私のせいだろう。
でも、もう彼を笑顔にすることはできない。
「そのうちはるにもいい人が現れるといいね」
「うん……」
どうか、次はいい恋をして。
私にはそれくらいしか祈れない。
「なつき、お誕生日おめでとう」
そう言って、プレゼントを渡されたのは私の部屋に彼女をあげてすぐだ。
ゆりから誕生日を祝われるのは毎年のことだが、今年は少し違う。
仲良し四人組として集まるのではなく、ゆりのみ。
自分の誕生日のことをすっかり忘れていたのは、このところ色々あったのと、これまでははるが“何が欲しい?”と聞いてきていたけれど、それがなかったから。
だが、私の誕生日は来週の土曜だ。
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