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「いや、いいよ。せっかくだから二人で楽しむといい」
「一緒になつきのご飯食べましょうよ!」
だが、ゆりも三上さんを誘う。
「いや……」
「大丈夫ですよー。ね?」
三上さんがちらりと私を見つめた。
「はい。どうぞ」
「じゃあお言葉に甘えて少しだけ……悪いな。お邪魔します」
遠慮がちに彼があがると、ゆりは三上さんの背を押しリビングへ誘う。
仲良し四人組はダメになったけれど、またこうして新しい形で輪が広げられるといい。
そう思いつつ、二人を追いかけた。
はずなのに、キッチンで調理中の私は少しだけ悶々としていた。
カウンター越しに見えるリビングでゆりと三上さんが仲良さげに会話をしているからだ。
私まで聞こえない声で話をしているので、モヤモヤとした感情が胸に沸き起こっている。
私はこんなにヤキモチやきだっただろうか。
夏木さんのこともそうだ。
自分が怖い。
まるではるになってしまいそうな気がしてくる。
ーービシャー。
きっと心が不安定だったせいだ。
水道の吐水口に手の甲が当たり、塞いだことで水が激しく私に吹きかかってきた。
「キャッ!」
驚き止めた時はずぶ濡れ。
「大丈夫?」
三上さんが飛んで来た時は恥ずかしくて泣きそうだった。
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