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「りーちゃん寝てるのかな?おーい、りーちゃん」
さらに呼び掛けると、隣から「なんか、悔しいな」と呟きが届く。
「え……?」
「俺のことも呼んでみて」
「……三上さん」
そうでないことはわかっている。
何を求められているのかちゃんと、わかっている。
「そうじゃない」
ほら、やっぱりーー。
「なんだか、恥ずかしくて」
「何でだよ」
「だって、好きな人を名前で呼ぶことなんてこれまでなかったから……」
はるは元々友人だった。
それに強要されれば、きっと呼んでただろう。
恥ずかしさなんて感じない。
でも三上さんは違う。
「皆、すごいですよね。好きな人を簡単に名前で呼べて。どういう気持ちなんでしょう」
「……」
「コツがあるのでしょうか……」
「お前、可愛すぎる」
車は信号待ちでとまる。
同時に三上さんの顔が近付いてきて、私の唇にキスが落ちた。
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