心も身体も満たされて-2

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不意打ちだったので、バスケットを掴む手が緩みそうになった。危ない。 りーちゃんを落としてしまいそうだった。 「……三上さん」 ギュッと自分へ引き寄せつつ、困り顔を作ってみせる。 本当は嬉しい。 だからきっとそれは隠しきれていないだろう。 「初々しいよな、お前って」 可愛いと言われるのは正直嬉しい。 けれど、初々しいと言われたことに、固まってしまう。 私とはかけはなれている言葉だ。 初々しく見えたとしてもそれは偽物で、本当は違うのだから。 胸の奥が嫌に痛む。 「……初々しくなんてないですよ……」 「え?」 「私が正反対なこと、三上さんよくご存知ですよね……」 せっかくの甘い雰囲気が私のせいで微妙になる。 でも、本当のことだ。 だって、そこが一番自信のないこと。 「ごめんなさい、変なことを言って……」 ーープッ。 後ろの車にクラクションを鳴らされた。 普通なら焦る状況なのに、今は気まずさを助けてくれたように感じ、ホッとする。 信号が青に変わっている。 彼は静かに車を発進させた。
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