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「ありがとうございます……理巧さん」
かなり語尾が小声になった。
ーーかぁ。
顔が赤らんでいるのが鏡を見なくてもわかる。
彼は何も言わない。
聞こえなかったのだろうか……。
ホッとするような寂しいような、妙な心地である。
でもしばらくして、「なぁ、もう一回」と、甘い声が降った。
「……え」
「呼んで」
ちらりと私を見る彼の視線はなんて甘いのだろう。
ドキドキするーー。
「そう言われると無理です」
彼がくすっと笑った。
「じゃあ気長に待つよ」
「……そういうところが好きです」
「そんなこと言われるとますます急かせなくなるな。計算か?」
「違いますよ」
三上さんがははっと笑い「そんな器用じゃないか」と私の頬を優しく撫でた。
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