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それに、二度と刑務所から出られないのならいいけれど、そうではないのだ。
出てきた時が怖い。
「そう……」
「はい……」
「そうだな、あまり追い詰め過ぎてしまっても、あいつは何をするかわからないタイプだからな」
確かにそうだと首を縦に振る。
今度こそ理巧さんを狙ってくるかもしれない。
理巧さんが私の手を持ち上げて、彼の頬に当てた。
ひどく熱くて怒りが伝わる。
「……もう二度と現れないようにしてもらおう。もし、また関わってくるようなことがあったら、次こそ容赦はしない」
彼は怒りのこもった声で言い、私の手をより彼の頬に付けた。
「そこら辺もきちんと伝えて、交渉する」
「……はい。ありがとうございます」
何が正しかったのかはわからない。
ただすぐにはるが海外に行ったことを知らされて、私はそれだけでも安堵した。
また穏やかな日常が戻ってきた。
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