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「こんばんは。藤下様、お待ちしておりました。今日、藤下様がお似合いになりそうなドレスが入荷したんです」
金曜日の終業後、私がウェディングサロンへ足を運ぶと、待ち構えていました、というようにスタッフにドレスを見せられた。
やはり、初めに選んでいたウェディングドレスは肩の傷が目立ち、選び直しになってしまった。
初め選んだオフショルダーのプリンセスラインのドレスは一目見て気に入ったものだった。
女として目立ちたくない、なるべく色物は避けたいと思っていた私なのに、理巧さんと付き合うようになってからそれを克服したので、本当に好みのものだった。
だが、残念ながらそれを超えるものがなく、式が迫っているので、妥協しながらなんとなくこれにしようというドレスを決めていたところだ。
「いかがですか?」
「わ、素敵……!」
それは同じくプリンセスラインのドレスで、スカートはふんだんにレースが使われており上品で、かつ形も綺麗だった。
心配していた肩の部分はレース字が厚く、きっと傷は見えない。
初めて選んだドレスより素敵。
「すごく可愛いです。私、これにしたいです」
私は試着もしていないのに、即答した。
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