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それでも彼は式の演出や進行、招待客の調整や引き出物についてなど、私任せにせずに手伝ってくれた。
大変ながらもとても幸せな時間で、お互いの理解も一層深まっていく感じがし、彼という人をますます好きになっていった。
そして、迎えた結婚式の日。
私は控え室で髪を巻いてアップにし白い花を散りばめると、しっかりとメイクをしてもらい、ドレスに袖を通す。
ドレスのレースは繊細で、巻き上げた髪が邪魔をして破ってしまわないか心配したけれど、無事に着ることができた。
ーーコンコン。
「入るぞ」
理巧さんの声だとわかる。
彼にはこのドレスだけは見せるのは実は初めてだった。
「なつき……」
彼は私を目にした瞬間、立ち止まった。
わかりやすく固まる彼に変だったろうか、と不安になるもすぐ彼はスタッフがいるのにキザな台詞を吐いた。
「ため息がでるほど綺麗だ」
私の頬はいつもより濃く叩いているチークに負けぬくらい、かあっと赤く染まる。
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