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忙しい中、ドレスを探してくれていたのだと思うとたまらなくなる。
彼はどれだけ私を想ってくれるのだろう。
「理巧さん、優しすぎです」
「なつきは似合いすぎだよ」
彼はくすっと笑い、私の手をそっと握った。
優しい手。
大好きな手だ。
たまらず涙が溢れる。
この手を掴んでよかった。
勇気を出して彼の下へいってよかった。
彼との恋愛を知らないままでいなくてよかった。
幸せになることを諦めなくてよかったーー。
「本当にありがとうございます」
「あぁ。これからよろしくな」
「はい」
理巧さんは優しく微笑んで、私を抱き締めてくれた。
けれど、それから少しして、彼は花嫁を泣かせないで、とメイクさんに少し怒られてしまった。
私はそれを見て泣きながら笑った。
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