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彼はバラの花束を横から私の手に滑り込ませた。
「俺と結婚してくれ」
「……はい」
驚きばかりだけれど、自然と頷いていた。
たしかに二度目のプロポーズ。
ちなみに私の記憶の中の人生一度目のプロポーズは理巧さんではなく、はるだけれど、あの日は困惑ばかりだった。
「私でいいんですか……?」
「なつきがいいんだよ」
「ありがとうございます」
「こちらこそ」
今になり嬉しさがわく。
ギュッと花束を握りしめた瞬間、店内に拍手が沸き起こった。
それと同時に花火の付いたケーキが届くので、さらに驚く。
店内のスタッフ、お客さんの視線を浴びている状況に、理巧さんを見つめると、「なかなか恥ずかしいな」と彼が耳元で囁くから、なんだかホッとする。
こんなことはきっと人生一度きりだ。
それに密かに計画してくれた彼の気持ちが嬉しくて「ううん、大好き理巧さん」と堂々と告白した私だった。
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