67人が本棚に入れています
本棚に追加
ダイヤのネックレスと同じブランドの結婚指輪を渡されたのはそれからしばらくして。
お互いの両親への挨拶、両家顔合わせ、とトントン拍子に事は進んでいく。
結婚式は私の名前にちなんで夏にしよう、という理巧さんのロマンチックな思い付きにより、それに合わせるため毎週末結婚式関係の予定で埋め尽くされた。
結構多忙だが、幸せでいっぱい。
グレーだった心が幸せの色に変化した。
そんなある日、原口さんの婚約パーティに誘われた。
原口さんには理巧さんと婚約してから、何度も三人で食事をしている。
私の中で、三番目に大丈夫な男性という位置付けにいる彼だが、突然の結婚に驚いたのは数日前のことだ。
「彼女が妊娠してたんだ……」
喜ばしいことなのに、真顔で私と理巧さんに報告してきた原口さんの顔は忘れられない。
「……彼女いたんだ」
そう言った理巧さんの真顔も。
「彼女っていうか、なんていうか……」
「……なんだそれ」
「俺もまだ、受け止められてない」
聞くと、原口さんの彼女は病院の院長の娘らしく、それを知らずに大人の付き合いを続けていたらしい。
最低だと理巧さんは言っていたが、お互い同意であるだけ私にはマシに感じた。
そのうえ理巧さんという婚約者がいるわりに、高校生レベルの恋愛脳な私には別次元の話に聞こえていたのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!