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「二人ともこんなところにいたのか」
「おぅ」
「原口さん……おめでとうございます」
原口さんが手を上げて歩いてくるので、ハッとして、理巧さんから少し離れる。
きっと今まで見られていたのだろうけれど。
「ありがとう」
原口さんは鼻の下を照れ臭そうに掻いてみせた。
「婚約者さん、とても綺麗なお方ですね」
「そう?どうも……でもなつきちゃんには負けるよ」
そう言いながらも嬉しそうだ。
だって本当に綺麗な人だもの。
「二人とも、この間は申し訳なかった……」
「え?」
「落ち着いたか?」
結婚の報告をした日のことだ。
原口さんが「おぅ。父親になる自覚がでてきた。楽しみだよ」という真剣な顔を見つめる視界の端で、何かが閃いて見えた。
怪しさを察知すると同時に第六感が働き顔をそちらに向ける。
すると、久しく忘れていた人物を目の当たりにして、一瞬身体が硬直した。
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