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春立さんとタクシーに乗り込む。
手は繋がったまま。
お互いに車内ではほとんど無言だった。
だから、ちらりちらりと彼を見つめては現実だと確認する。
彼の横顔は綺麗で、夜の暗の中浮き出て見える。
運転手に彼が「ここで」と言って降りる意思を見せた時には、いよいよだと胸の鼓動が高鳴りはじめた。
彼のマンションのエレベーターに乗り、部屋の扉を開けた。
「おいで」
手を引かれ、中へ誘われる。
すると彼は玄関に入るなり、私にキスをしかけてきた。
激しいキス。
背中に手が回される。
もう、ただの同じ会社の者同士には戻れない。
それでもいい……。
私だって彼の背に手を回し、キスに応えた。
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