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「ベッド行こうか?」
甘く、低い声が耳元で囁く。
ゾクリとした。
甘い期待がこれから現実になる。
「はい」
私の声は小さく消えそう。
けれどちゃんと彼は聞いていて、私の手を引き、寝室へと誘う。
パンプスは大きく不揃い。
明日見たら恥ずかしくなるに違いない。
ベッドへ私と彼は腰を下ろす。
「春立さん……」
彼の腕を小さく握る。
その腕は少し震えている気がした。
会社の同じフロアの人間と身体の関係を持つことを躊躇っているのだろうか。
でももう、逃がしたくない。
「ヤバイな、緊張する」
その台詞は意外なものだった。
だがそれに反し、彼は頬に触れながら優しいキスを繰り返す。
「そうは感じません……」
「そんなことないよ。この辺、バクバク」
彼は彼自身の胸元に手を当てた。
それを言うなら私だろう。
「私だって……」
すると彼が深いキスをしかける。
それから私の胸のドキドキを確かめるようにそっと手を置いた。
キスは激しさを含み始める。
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