はじまりの夜

34/38
前へ
/38ページ
次へ
そして、恥ずかしいけれど、我慢したぶん春立さんに触れたい気持ちも高まって、自分から彼に触れられたいところをつき出してしまう。 甘く触れられるのを期待して自ら服を脱いでしまうくらい、今日の私は変。 「奈々、積極的」 そう言われてしまうくらい、彼に触れられたくてたまらない。 春立さんはなぜか嬉しそうに笑う。 “エッチな子だと笑っているの?” けれど、我慢できない。 「春立さん……」 “好き” 心でそう言いながら、春立さんに何度もキスを求めつつ、私からも彼に触れる。 彼に触れられている時、触れている時、どちらの時間も好き。 彼が私のもののように感じるから。 そして、なにより、身体を繋げる時が好き。 まるで私と心が繋がっているみたいに感じるから。 今もそう。 まる彼の心が私にあるよう。 彼から呼ばれる“奈々”に愛しさが込められているように感じながら、彼にしがみついた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

130人が本棚に入れています
本棚に追加