130人が本棚に入れています
本棚に追加
春立さんは行為後もやっぱり優しい。
今夜もそうだった。
彼に優しく髪をすかれながら、お喋りをするのが好き。
「今週は会えてよかったよ。俺、来週出張なんだ」
彼が出張でいないのはよくあること。
将来有望な春立さんは出張、研修といないことも多々だ。
「そうなんですね、寂しいけど頑張ってください」
「可愛いこと言うね」
優しいキスを落とされる。
やっぱり会っていて正解だった。
二週間、彼の温もりから離れるなんてできない。
来週のぶん。
そう言い合って、日曜日も彼と何度も抱き合った。
幸せだったのは日曜日まで。
月曜の朝、私は知りたくなかった事実を知らされる。
唯ちゃんに会社のエレベーターでたまたま会い「おはよう」と挨拶をし合った後のこと。
「ねぇ、今週末の出張で春立さんと輪島さん一緒に出張行くんだって?」
春立さんが出張するのは知っている。
しかし、輪島さんのことは知らない。
「……え?」
「なんかさ、部長とか課長とか、あからさまだよね。くっつけようとするのミエミエ」
キャハハと笑う唯ちゃんを、私は少しも笑えず見つめる。
最初のコメントを投稿しよう!