はじまりの夜

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「私的にはもうあの二人くっついてると思ってるから、そんなことわざわざ必要ないと思うけど」 「そ、そうなんだ」 「ふふ、うん」 確信するように言うので、心はダメージを受ける。 “毎週末、抱かれているのは私だよ” 唯ちゃんに言ってやりたい。 情報屋の彼女だ。 すぐに会社全体に広がるだろう。 だけど、そんなことできるはずもない。 ……ヤバイ、泣きそう。 「奈々ちゃんは……?佐藤さんとか?」 「……へ」 「なんか、よく一緒にいるし」 唯ちゃんはショートボブが揺らしながら、笑う。 「奈々ちゃん、佐藤さんとお似合い」 「……」 春立さん以外の人と並べられても嬉しくない。 「佐藤さんもいいよねー」 そう言うと唯ちゃんは「お付き合いした時は教えてね」と耳元で囁いた。 「そんなこと、ないから」 私は少しムキになっていた。 だが、唯ちゃんは照れととったのか、笑っていた。
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