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“今日は輪島さんを抱くの?”
悲しい想像が広がる。
だが、少し遅れて、二人を追いかけた。
きっと、予想は当たっている。
けれど、1%の可能性に期待して、どうか違っていて、と願いつつ駆けた。
すぐに二人の後ろ姿を見つけた。
少し後ろの位置で足を止める。
ーーズキリ。
胸が痛い。
輪島さんは春立さんの腕をバシバシ叩き、仲がよさそうにしている。
もう、カップルにしか見えない。
まるで、私と春立さんを包む雰囲気とは違う。
親密さを感じた。
いよいよ、春立さんのマンションに近づく。
足を止めて、二人を見守った。
「入らないで……」
心の声が漏れる。
けれど、二人は春立さんのマンションのエントランスをくぐって消えた。
ーー入ってしまった。
予想通りの最悪な結果に、瞳には涙が浮かぶ。
なんて惨めなのだろう。
輪島さんが本命。
それを教えられた気がした。
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