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「私……何をしてるんだろう……」
二人の後ろ姿を見てため息を吐く。
案の定、輪島さんは春立さんと駅で合流し、親しげに話をしながら歩きはじめたが、二人は地下にあるダイニングバーに入っていってしまった。
距離を取りつつ追っていた私は、まるで、ストーカー。
きっと、これ以上追ってはヤバイ奴になってしまう。
二人はこれからどんな時間を過ごすのだろうか。
“私の時のような、いや、私以上に甘い時間を過ごすの?
胸が苦しい……”
「飯島?」
ぼんやりと店の入り口に立っていた私の肩を叩いたのは、佐藤さんだった。
「何してるんだ?」
「え、あぁ、ちょっと」
歯切れの悪い私を見て何か感づいたのかもしれない。
佐藤さんは地下を少しの間見つめ、「軽く飲みに行くか」と言った。
「え……」
「いつもの店、行こうぜ」
佐藤さんは並びのよい歯をにかっと見せ、私の肩をパンと叩く。
どうして佐藤さんなんだろう。
動揺する。
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