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ーーどうして確認したいと思ったのだろう。
なぜ、来てしまったのか……。
ひどく後悔したのは、そろそろ彼の家にもう一度行ってみようかと思った頃だ。
目の前の歩道を春立さんと輪島さんが並んで歩いている。
二人は話に夢中で、私の存在には気づいていない。
けれど、私からは二人の笑い顔も距離の近さもよく映っていた。
目の前を通っていたのは少しの間。
だが、まるでスローモーションのように感じた。
どうして見つけてしまったのだろう。
心が真っ暗の雲に覆われる。
“どうして二人でいるの?
輪島さんの家は別方向だよね……”
課の飲み会でのことを思い出すが、彼女の住所は私とは反対方向で、一緒に帰宅したことがない。
ということは、春立さんの家に行く可能性がかなり高いということ。
ーーどうして。
昨日、私が泊まったばかりなんだよ。
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