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“昨日、家に来ました?”
彼が顔を上げた時、尋ねようと思った。
けれど、春立さんの視線は私に向くことはなく、他社員も乗っていることから、声をかけられないまま、エレベーターをおりる。
完璧にタイミングを逃した。
一応と上司らに、私の家に来たのか尋ねたけれど、皆、来てないと答えたので、春立さんの線が濃厚になる。
だから、春立さんに尋ねたいとますます思うのだけれど、なかなか彼を捕まえられない。
それは退社時間まで続き、ようやく休憩室にいる春立さんを見つけた。
「はるた……」
休憩室に足を一歩踏み出し、彼を呼ぼうとした時だった。
「栞は何飲む?」と、いう輪島さんの声が邪魔をした。
彼女は自販機の前に屈んでいて、私から死角の位置にいたのだ。
また、輪島さん。
三日前のことを忘れたわけではない。
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