揺れる恋心-2

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傷付いて泣いた夜の痛みは、胸に今もちゃんと残っている。 「微糖で」 「オッケイ」 輪島さんの視線が私まで伸びてくる気がして、咄嗟に扉に隠れた。 “ガコン”という音がした後「ねぇ、栞」と輪島さんが彼を呼んだ。 聞き耳を立ててしまう私はなんて気が小さいのだろう。 “お疲れさまです”と二人の輪に入っていけるくらいの性格なら、きっと輪島さんのことでクヨクヨせず、聞き出せたはずだ。 「ん?」 「昨日ありがとね。ほんと……会えてよかった」 「おぅ」 「栞の言う通りだったね」 会えてよかった、だなんてカップルの会話だ。 普通の男女の会話ではない。 「ははっ、だろ?」 春立さんが笑ってすぐだ。 「飯島?」と佐藤さんに顔を覗かれた。 二人のことに夢中で、佐藤さんにまったく気がつかない私はどうかしている。
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