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佐藤さんは“こんなところで何をしてるんだ?”という表情で私を見つめていたが、察しのいい彼だ。
中の様子に気が付き、「下行く?」と言った。
一つ下のフロアにも同じ休憩室がある。
「……あ」
休憩室に用があったわけじゃない。
春立さんに用があったのだ。
「ほら、行こうぜ」
佐藤さんが私の肩をポンと叩いた。
どうせ、春立さんと輪島さんの中には入れないのだ。
佐藤さんと並び休憩室から離れることにした。
その時だ、春立さんと輪島さんが外に出てきて、二人が私たちと向かい合わせに立つ位置に来た。
春立さんと視線がぶつかる。
けれどすぐに彼の視線は佐藤さんに向けられる。
春立さんは無表情。
佐藤さんも、もちろん私も。
「お疲れさまー」
笑顔なのは輪島さんだけ。
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