迷いの中で 1

迷いの中で

ランチからディナーまで開けっぱなしの店だから、私たちは店にもうかれこれ三時間ほどいて、セットのケーキを食べながら話をしていた。

今日でプライベートの佐藤さんのことを結構知ったと思う。

血液型や誕生日、家族構成や、親の職業に趣味。好きな女性のタイプや芸能人、など。

春立さん並みに情報を得てしまった。

佐藤さんはよく喋る人なので、それ以上かもしれない。

だって、春立さんの女性のタイプなんて知らない。
一番気になることだが、怖くて自分からは聞けない。
真逆だと落ち込む。

“だから本命にはなれないの？”と思い悩みそうだ。

ちなみに佐藤さんの好きなタイプは、快活な人らしい。

「俺は女を全面的に出すタイプが苦手なんだよね」

その話は今も継続中だ。

一人マーケ部の契約社員でいかにも女子なタイプがいる。

男性社員からはアイドル的存在であるが、佐藤さんは苦手そうにしているのを目にしているので、たしかにと、感じ「あぁ」と頷く。

「佐藤さんは変わってますね。男の人はふんわり女子に弱いのに」

くすっと笑うと真面目な顔を作り「俺は飯島みたいなタイプが好きだから」と言うので、しまったと思った。