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お互い顔は知っているものの、仕事でもプライベートでも絡むことはないので、声をかけられるのが驚きだ。
「は、はい……」
姿勢をピンと正した彼は「あ、あの……」と、一歩私に近付いた。
「はい……?」
「佐藤さんと付き合ってないって本当ですか?」
今日、佐藤さんは私たちの関係をからかわれる度、色んな社員に否定していた。
照れ隠しだと思っている人が多かった中、彼は信じてくれたのだろうか。
そして、うつむきがちに尋ねるので、なんとなくピンときた。
「え、えぇ……」
「そうなんですね!」
あきらかに明るくなる表情を見て“やっぱり”と確信してしまう。
決して数は多くないけれど、こういう場面に遭遇することがないわけじゃない。
「え、えっと……」
「僕、飯島さんのことが好きなんです!佐藤さんと付き合っていないのなら、僕と付き合ってもらえませんか?」
想像はしていても、いきなりの告白に戸惑う。
短期間で二人に告白されるなんて、モテ期というやつなのだろうかーー。
しかしなぜ、曖昧な春立さんとの関係に堪えている今なのだ。
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