迷いの中で-2

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お互い顔は知っているものの、仕事でもプライベートでも絡むことはないので、声をかけられるのが驚きだ。 「は、はい……」 姿勢をピンと正した彼は「あ、あの……」と、一歩私に近付いた。 「はい……?」 「佐藤さんと付き合ってないって本当ですか?」 今日、佐藤さんは私たちの関係をからかわれる度、色んな社員に否定していた。 照れ隠しだと思っている人が多かった中、彼は信じてくれたのだろうか。 そして、うつむきがちに尋ねるので、なんとなくピンときた。 「え、えぇ……」      「そうなんですね!」 あきらかに明るくなる表情を見て“やっぱり”と確信してしまう。 決して数は多くないけれど、こういう場面に遭遇することがないわけじゃない。 「え、えっと……」 「僕、飯島さんのことが好きなんです!佐藤さんと付き合っていないのなら、僕と付き合ってもらえませんか?」 想像はしていても、いきなりの告白に戸惑う。 短期間で二人に告白されるなんて、モテ期というやつなのだろうかーー。 しかしなぜ、曖昧な春立さんとの関係に堪えている今なのだ。
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