迷いの中で-2

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春立さんへの想いを簡単にやめられ、佐藤さんや目の前の彼のような、私がいいと言ってくれる人を好きになれたら、どんなに楽だろう。 でも、心はやはり佐藤さんの時と同様ときめかない。 私がときめくのは春立さんだけーー。 こんなにも誰かを想ったことはないかもしれない、とまた思うのだ。 「飯島さん……ダメでしょうか?」 彼はまた一歩私に近付いた。 彼は春立さんほどではないが、なかなか見た目のいい男だ。 自覚があるのか、色っぽさを含んだ瞳を上目遣いにして、私の顔を覗き込んだ。 「飯島さんのこと、入社時からずっといいなって思ってました。ここのところ佐藤さんと噂があったんで、諦めるしかないと思ってたんですけど違うなら、僕と付き合って欲しいです」 「……」 「もしかして、彼氏がいるんですか?」 ーーいないよ。そんなの。 迷いなく心で答えたその時だった。 「悪い、奈々は俺のなんだ」 一瞬、何が起こったのかわからなかった。 夢だろうか。 背後から春立さんがやってきて、私の横に立った。
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