迷いの中で-2

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「頭を上げてください」 「あ、あの、告白してくれてありがとうございました」 きっと、すごく勇気を出してくれたのだから、そこはちゃんと伝えないといけない。 「あぁ、くそー春立さんが羨ましいです」 「悪いな」 「本当に好きだったのになぁ……。今日はやけ酒します」 春立さんが苦笑している。 これが現実のこととは思えない。 男性社員が「失礼します」といなくなると、私と春立さんの二人きりになる。 彼の手はすぐに離れた。 “もしかして、俺のなんて言ったのは、遊び相手が取られると思ったから……?” 一瞬で不安に襲われる。 「奈々」 でも、彼の声は真剣。 怖さでいっぱいなのに少しだけホッとする。 「……はい」 「話がしたい。今日こそ話をしないか……?」 切なくすがるような瞳を向けられる。 こんな表情は初めて見るかもしれない。 「わ、私も話をしたいと思ってました」 期待と恐怖。 対極の思いを胸に、彼を強く見つめた。
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