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やはり夢を見ているのだろうかーー。
春立さんと共に会社を出て、彼の隣を歩いている自分が信じられない。
“ゆっくり話したいから、家に来ない?”
その一言に頷き、彼の家に向かっている。
色々聞きたい。
けれど、彼と二人きりになってからーー。
だから歩いている時も、電車の中でも彼とは会社の中でするような他愛のない話をした。
きっと春立さんも同じつもりだったのだろう。
「散らかってるけれど、どうぞ」
「お邪魔します」
久しぶりの彼の部屋。
しゃぼんの香りを感じた。
「コーヒー淹れるね」
「ありがとうございます」
私は輪島さんの形跡を探してしまう。
部屋を密かに見回したけれど、女性ものの品物は目の届くところにはないように見える。
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