68人が本棚に入れています
本棚に追加
「熱いから気をつけてね」
私用にと買ってくれたカップを差し出された。
それだけで胸が震える。
「ありがとうございます」
「うん」
春立さんは人一人分のスペースを空けて、私の腰の下ろすソファに座った。
毎回家にお邪魔する時は距離がゼロだった。
違和感。
「奈々ちゃん」
春立さんは私のことを色んな呼び方をする。
そこも彼のつかめないところ。
“今はどういう気持ちーー?”
春立さんを控えめに見つめた。
「ずっと、曖昧にしてごめん」
「……」
“フラれるのーー?”
彼の瞳が頼りなく揺れるので不安になる。
最初のコメントを投稿しよう!