68人が本棚に入れています
本棚に追加
でも、嫌いじゃない。
一度、電話は切れる。
しかしすぐ二度目の電話がかかった。
ーープルルルルル。
「佐藤さん……」
「出ちゃダメだ」
彼の力が強まる。
スマホは佐藤さんの手の中。
自分でも出たいのか出たくないのか、もうわからなくなってしまう。
着信音が止まった。
さすがにもう鳴らない。
二度目も春立さんだったのだろうか。
「……飯島」
ようやく佐藤さんが離れる。
彼は男の顔をしていた。
初めて見る顔だ。
「好きだ」
心が震える。
「俺を選べよ」
きっと、その方が楽だ。
それはわかる。
最初のコメントを投稿しよう!