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三度すべて、春立さんだろうか。
無視できない私がいる。
気になるのだ。
「佐藤さん、私……やっぱり春立さんと話をしたいです」
「……どうして?二股するような男だろ?」
「……」
たしかにそう。
そうだけれど、まだ春立さんの本意を知らない。
「……きっと出ないと後悔します」
すると佐藤さんは私をきつく抱き締めた。
とても離れられない強い力だ。
「佐藤さん……」
「後悔したらいいよ」
「え」
「今夜は行かせない」
佐藤さんはそう言うと、私の首に顔を埋めた。
スパイシーな香りをより感じる。
「飯島、好きだ……」
泣きそうな声。
彼の想いが痛く伝わる。
泣きたいくらい誰かを想うその気持ちは、わかるつもりだ。
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