迷いの中で-2

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「佐藤さん、でも……私……」 ーーバタン。 大きな音を立てて、私の身体がフローリングに押し付けられた。 「……さ、佐藤さん……!?」 佐藤さんの身体が被さり、私の身体を覆う。 顔と顔の距離はお互いの息がかかるくらい近い。 気を緩めると、キスをしかけられそうな距離だ。 「飯島が好きなんだ」 彼の色のこもった視線が痛い。 私もきっと、春立さんに迫るとき、同じような視線を向けていたに違いない。 こんな状況であるのに、あの日のことを思い出す。 やっぱり私の心には春立さんがしっかりいるみたい。 佐藤さんの顔が近づいてくる。 間違いなくこれが春立さんならば、瞳を閉じて受け入れていたに違いない。 ーーけれど……。 「ダメです、佐藤さん……」 くっついた身体から手を抜き、佐藤さんの唇に当てた。
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